心アミロイドーシスは、「アミロイド」と呼ばれる異常なタンパク質が心臓にたまることにより、心臓のはたらきが悪くなる病気です。

アミロイドーシスとは

アミロイドーシスとは、 「アミロイド」と呼ばれる異常なタンパク質が体の臓器にたまり、本来の働きを失わせる病気です。この「アミロイド」とは、体のなかで重要な働きをしているタンパク質の形や性質が変わり、 水や血液に溶けにくい線維状になってしまったものです。「アミロイド」のもととなるタンパク質は、現在30種類以上あることがわかっており、その種類によってたまりやすい臓器や組織、あらわれやすい症状が異なります。

アミロイドーシスの種類

アミロイドーシスは、「アミロイド」が全身のさまざまな臓器にたまる「全身性」と、1つの臓器のみにたまる「限局性」にわけられます。

全身性アミロイドーシス

① トランスサイレチン型アミロイドーシス（ATTRアミロイドーシス）

トランスサイレチン（TTR）というタンパク質の異常を原因とするアミロイドーシスです。遺伝子の変異（変化）を原因とする「遺伝性ATTRアミロイドーシス」と、遺伝子の変異ではなく、加齢を1つの原因とする「野生型ATTRアミロイドーシス」の2種類があります。

TTRは、肝臓で合成され、通常4つ1組で形作られています（四量体）。TTRに異常が起こると、4つがバラバラになり、糸くずのような形に集まります。その糸くずがさらに集まり、「アミロイド」という水や血液に溶けにくい線維状になり、体の臓器にたまります。

TTRのはたらき

② ALアミロイドーシス

侵入した細菌やウイルスを攻撃する「抗体」を作り出す役割を持つ細胞（形質細胞）の異常によってつくられるタンパク質（M蛋白）を原因とするアミロイドーシスです。

③ AAアミロイドーシス

体内で炎症が起きたり、組織が壊れるときに肝臓でつくられ、血中にあらわれるタンパク質（血清アミロイドA）を原因とするアミロイドーシスです。

限局性アミロイドーシス

アミロイドが特定の臓器にたまる病気で、代表的なものとして、アルツハイマー病、プリオン病などがあります。

参考：

日本循環器学会（編）. 2020年版 心アミロイドーシス診療ガイドライン. P.9-16. （2025年2月確認）

日本アミロイドーシス学会. アミロイドーシスについて. （2025年2月確認）

安東由喜雄. 日内会誌. 2009; 98(8): 2006-2012.