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心不全の基礎知識

心臓の構造

心臓は、およそ握りこぶし大のサイズで胸の中央に位置しており、ここから体中に血液を送り出す「ポンプの役目」を果たしています。
心臓は大きく4つの部屋に分かれていて、頭側の2つの部屋を「心房」、足側の2つの部屋を「心室」と呼びます。また、それぞれの部屋に入った血液が逆流しないために「弁」という扉があります。
心臓の壁のほとんどは筋肉(心筋)でできており、筋肉が縮んだり(収縮)、拡がったり(拡張)する動きによって、全身に血液を送っています。

心臓の働き

血液は、左側の心室(左心室)から動脈に送り出され、全身に酸素や栄養を届けた後は静脈に乗り、右側の心房(右心房)に還ってきます。右心房は右心室に、右心室は肺へ血液を送り、再び酸素を取り込んだ後で、左心房を経由して左心室に戻ります。これが、心臓の送り出す血液の循環です。

心不全の症状

心不全の症状は、心臓の右側と左側のどちらに異常が起きているかによって異なります。

》左心不全:「血液を送り出す機能」が弱っている状態

肺からの新鮮な酸素を含んだ血液を全身に十分送り出せないため、疲れやすくなったり、手足が冷たくなったりします。また、肺から心臓に血液が戻りにくくなるので、動いているときや横になっているときに息苦しくなることもあります。

》右心不全:「静脈から戻ってきた血液を吸い上げる機能」が弱っている状態

全身から流れてきた血液が心臓にスムーズに戻れないため、むくみの症状が出ます。むくみは特に足に出やすいですが、首の血管(静脈)がふくれたり、胃の粘膜や肝臓がむくんで気持ち悪くなったり、食欲が落ちたりすることがあります。

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心不全の重症度

心不全の患者さんは、心機能の低下に伴って活動が制限されるようになるため、活動の制限がどの程度進んでいるのかを把握する指標として、「NYHA心機能分類」が活用されています。ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)が作成した分類で、身体活動による自覚症状をもとに、重症度を4段階に分類したものです。

ニューヨーク心臓協会(NYHA)の分類

心不全は、無症状、軽症の時期からリスクを抑制することと、心不全を起こしている元々の原因をはっきりさせ、その原因も含めて早期から治療をしていくことが重要です。

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