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⽇常⽣活に関する⽀援

トランスサイレチン型⼼アミロイドーシスの患者さんは、先にご紹介した経済的⽀援のほかにも、国が定めた法律に基づくさまざまな社会福祉サービスを受けることができます。

介護保険法によるサービス(介護保険サービス) 

介護保険制度は、加⼊者(被保険者)が保険料を出し合い、介護が必要なときに認定を受けて、必要な介護サービスを利⽤できる制度です。介護保険の⽀給限度額内であれば、さまざまな介護サービスを1〜3割負担で受けることができます。

対象者

  • 65歳以上で、「要⽀援」または「要介護」と認定された⽅
  • 40〜64歳の医療保険加⼊者で、⽼化に起因する疾病(特定疾病)で「要⽀援」または「要介護」と認定された⽅

主な⽀援内容

⾃宅で利⽤できるサービス

  • 訪問介護:⾝の回りの⽀援、掃除‧洗濯‧買い物などの⽣活⽀援
  • 訪問看護:服薬管理や体調の観察など
  • 福祉⽤具貸与(歩⾏器、⾞椅⼦、ベッドなど)

⽇帰りで施設などを利⽤できるサービス

  • 通所介護(デイサービス)
  • 通所リハビリ(デイケア)

その他のサービス

  • 短期⼊所⽣活介護(ショートステイ)
  • 特定施設⼊居者⽣活介護
  • 特別養護⽼⼈ホーム

上記の他に、⾼額介護サービス費⾼額医療‧⾼額介護合算療養費制度といった⽀援もあります

  • 要介護度によって、利⽤できるサービスが異なります。

申請‧お問合せ先

お住まいの市区町村役所の窓⼝(介護保険課など)や地域包括⽀援センター

参考

介護事業所‧⽣活関連情報検索(介護サービス情報公表システム)

障害者総合⽀援法によるサービス(障害福祉サービス)

「障害者の⽇常⽣活及び社会⽣活を総合的に⽀援するための法律」(通称、障害者総合⽀援法)は、難病の⽅も対象としています。トランスサイレチン型⼼アミロイドーシスの患者さんは、⾝体障害者⼿帳を持っていなくても、サービスなどを受けられる可能性があります。

対象者

  • 18歳以上の⾝体障害者、知的障害者、精神障害者
  • 18歳以上の難病などの患者で、障害の程度が厚⽣労働省の定める程度である⽅

主な⽀援内容

介護給付

  • 居宅介護
    ⾃宅での⼊浴、排せつ、⾷事の介護など
  • 同⾏援護
    視覚障害により、移動に著しい困難を有する⽅は、移動に必要な情報の提供、移動の援護などの外出⽀援を受けることができます。
  • 療養介護
    医療と常時介護を必要とする⽅は、医療機関で機能訓練、療養上の管理、看護、介護および⽇常⽣活の⽀援を受けることができます。
  • サービスの利⽤は、患者さんの状況に応じて判断されます。
  • 「介護保険制度に基づくサービス」と重複するものについては、介護保険が優先されます。

申請‧お問合せ先

お住まいの市区町村役所の窓⼝(障害福祉課)

⾝体障害者⼿帳

⾝体障害者⼿帳は、⾝体の機能に⼀定以上の障害があると認められた⽅に交付される⼿帳です。交付を受けた本⼈やそのご家族が様々な控除や福祉サービスを受けることができます。

① 対象となる⽅

⾝体障害者福祉法に定められている障害程度等級に該当することが認められた⽅。
対象となる障害は、視覚、聴覚、肢体不⾃由、⼼臓機能障害などの種類が定められており、障害の程度はその種類ごとの障害程度等級表にもとづいて決められます。

  • 対象となる障害が⼀定以上で永続することが前提ですが、トランスサイレチン型⼼アミロイドーシスの患者さんも、ペースメーカ等を装着している場合などに⼿帳が交付される可能性があります。
障害程度等級表(⼼臓機能障害)
1級 ⼼臓の機能の障害により⾃⼰の⾝辺の⽇常⽣活活動が極度に制限されるもの
2級
3級 ⼼臓の機能の障害により家庭内での⽇常⽣活活動が著しく制限されるもの
4級 ⼼臓の機能の障害により社会での⽇常⽣活活動が著しく制限されるもの
参考:厚生労働省.身体障害者手帳.(2025年2⽉確認)

② 受けられる主な割引‧減免サービス(例)

身体障害者手帳が交付されると、各種サービス料金の割引や税金などの減免を受けることができます。障害の程度により受けられる割引、減免の内容が異なりますので、詳細は市区町村の窓口や、対象となる交通機関·公共サービスの事業者にお問合せください。

  • 交通機関の割引:
    JR、有料道路、公共交通機関、⾶⾏機、タクシー、⾼速バス、旅客船などの運賃、料⾦
  • 携帯電話の割引:基本使⽤料の割引
  • 公共施設の割引:
    美術館、博物館、動物園、映画館などの⼊場料や利⽤料
  • 税⾦の減免:
    所得税、住⺠税、相続税、⾃動⾞取得税、⾃動⾞税など
  • NHK放送受信料の割引

③ 申請⽅法

  1. お住まいの市区町村の障害福祉担当窓⼝で、申請書類を⼊⼿します。
  2. 都道府県知事等の指定を受けた医師に、診断書‧意⾒書を記⼊してもらいます。
  3. 顔写真、マイナンバー関連書類などと併せて、市区町村の障害福祉担当窓⼝に申請します。
  • 申請から⼿帳の交付までには1〜2ヵ⽉程度かかります。
お問合せ先

お住まいの市区町村役所の窓口(障害福祉課)

ここまで、トランスサイレチン型⼼アミロイドーシスの患者さんが安⼼して療養⽣活を送るための医療費助成制度や社会福祉制度をご紹介しました。「制度は複雑で理解するのが難しい」という⽅や、「どういった⽀援制度が利⽤できるのか相談したい」という⽅は、⽀援制度や⽣活に関する相談先へ相談されることをおすすめします。

参考:
鈴⽊豊, 他(編). 医療福祉サービスガイドブック2024年度版. 医学書院; 2024, p.82,128-129,143.
厚⽣労働省 介護保険制度について (2025年2⽉確認)
全国社会福祉協議会. 障害者福祉サービスの利⽤について(2025年2⽉確認)

監修(五⼗⾳順):

信州⼤学医学部 循環器内科 教授
信州⼤学医学部附属病院 脳卒中‧⼼臓病等総合⽀援センター センター⻑
桑原 宏⼀郎 先⽣

信州⼤学医学部 脳神経内科、リウマチ‧膠原病内科 教授
信州⼤学医学部附属病院 信州診療連携センター センター⻑
関島 良樹 先⽣