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日常生活のなかでできるリハビリ

適切な強度の運動を継続して行うことは、体力の向上や筋力の維持、さらに心臓の負担を減らすことにもつながります。ここでは、心臓病の患者さんが日常生活の中でも行えるリハビリをご紹介します。どのくらいの活動や運動が適切であるかは、患者さんの状態によって異なりますので、始める際にはかかりつけ医やリハビリのスタッフの方などに確認してください。

注意:自宅で心臓リハビリを始める際には、必ず、かかりつけ医に相談しましょう。

① 有酸素運動

心臓病の方には、ウォーキングやジョギング、エアロビクスなどのように全身をリズミカルに動かす「有酸素運動」がすすめられています。有酸素運動は、身体の中にとりこんだ酸素から筋肉を動かすエネルギーを作り出して行われる運動で、比較的長い時間持続して行うことができます。

② 低強度レジスタンストレーニング(筋力増強運動)

レジスタンストレーニングとは、「筋力増強運動」の意味で、筋肉に負荷をかける動きを繰り返し行う運動です。特に筋力の低下が起きやすい高齢者において、歩行などの持久運動だけではなかなか筋力が回復しないため、低強度レジスタンストレーニングを併用することが効果的です。

レジスタンストレーニング(筋力トレーニング)の例

股関節を曲げる運動

椅子に座った状態で、太ももを交互に上げます。

膝関節を曲げる運動

椅子に座った状態で、片方のつま先がひざと同じくらいの高さになるように足を上げていきます。

かかとあげ運動

椅子の背を軽く押さえて立ち、肩幅程度に足を開きます。
そのままゆっくりと、かかとを上げ下げします。

スクワット

椅子の背を軽く押さえて立ち、肩幅程度に足を開きます。
そのまま、膝がつま先より前に出ないようにゆっくりとひざを曲げ、膝の高さまでお尻を落とします。
ゆっくり元の位置に戻します。

適切な運動の目安

運動の強さ

軽く汗ばむ程度、ややきついなと感じる程度、おしゃべりしても息切れしない程度が適切です。

1日あたりの運動時間

30~60分程度が望ましいとされていますが、例えば、朝夕20分ずつ2回に分けて合計40分でも問題ありません。さらに、短い運動を頻回に行うことでも効果が期待できます。例えば、エレベーターやエスカレーターを利用せずに階段を利用するなど、日常生活の中で積極的に動いて身体活動量をあげることを心がけましょう。
朝起きてから夜寝るまでの1日の総歩数としては、可能な日は7,000~8,000歩を目指してみてください。

運動の頻度

体調や天候にもよりますが、少なくとも週に3回以上運動を行うのが理想的です。ただし、運動を行った翌日に疲れが残っていたり、体調の悪さを感じる場合は、無理に運動をすることは控えましょう。

参考:
日本循環器協会, 日本心不全学会(編) . 心不全療養支援ポケットガイド. 南江堂; 2024. P.68-72.
日本心臓リハビリテーション学会. 心臓病の運動療法について Q.4(2025年2月確認)