心不全の治療
日本では、2023年に心不全で入院した患者数は約28万人に上りました1)。また、心不全で入院した人の約35%が1年以内に再び入院するという報告2)もあり、心不全の急激な悪化による入退院を繰り返す状況を防ぐことは、治療目標の1つとなります。
- 1) 一般社団法人 日本循環器学会:循環器疾患診療実態調査(JROAD)報告書(2023年実施)(2025年2月確認)
- 2) Tsutsui H, et al; JCARE-CARD Investigators. Circ J. 2006; 70(12): 1617-23.
「原因」と「症状」に対する2つの治療
心不全の原因が「高血圧性心筋症」である場合と、「心アミロイドーシス」である場合の治療を例にして見てみましょう。
動悸や息苦しさなどの心不全の症状に対しては、両者同様に、心臓を休ませるためのお薬や、むくみを解消するお薬によって治療をします。
一方で、原因に対する治療はそれぞれで全く異なります。「高血圧性心筋症」の場合には、血圧を下げるお薬を投与することで、心臓の負担を減らす治療を行います。一方、「心アミロイドーシス」の場合には、アミロイドが心臓の筋肉にたまることで働きが悪くなっているため、アミロイドが心臓にたまることを抑えるお薬によって治療を行います。
※横にスライドしてご覧ください。
- 日本循環器学会(編). 2020年版心アミロイドーシス診療ガイドライン. p.50-52, 56-60. (2025年2月確認)を参考に作図
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