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心アミロイドーシスの検査と診断

原因不明の心肥大があり、 手根管症候群 しゅこんかんしょうこうぐん 脊柱管狭窄症 せきちゅうかんきょうさくしょう があるなど 、心アミロイドーシスが疑われる場合には、以下のステップで検査が行われます。

※横にスライドしてご覧ください。
日本循環器学会(編). 2020年版 心アミロイドーシス診療ガイドライン. (2025年2月確認)を元に作成

STEP 1スクリーニング検査

心電図検査

心臓を動かすために発せられる電気信号を見ます。心アミロイドーシスでは、電気信号を伝達する部位にアミロイドがたまって邪魔をしていることがあるため、低電位(波形の高さが低い状態)や徐脈(電気信号の発生頻度が低下したり、電気信号の伝わりが悪くなったりして脈が遅くなること)など、電気信号の異常が見られることがあります。

心エコー検査

体に超音波をあて、反射してきた波を画像化することで、心臓の形や機能を調べることができます。心アミロイドーシスを疑う重要な手がかりである「心臓の壁が厚くなっている状態(肥大)」を確認します。

血液検査

心アミロイドーシスの診断の参考になると考えられている、BNP(心臓に負荷がかかると分泌されるホルモン)や、トロポニン(心筋が傷つくと血中に放出されるタンパク質)などの数値を調べます。

STEP 2精密検査

ピロリン酸シンチグラフィ

血液のなかに特殊なお薬(ピロリン酸)を入れ、体のどこにお薬が集まるかを専用の機器で撮影して画像化する検査です。心臓にアミロイドがたまっているかどうか、それがどの程度かを確認します。

血液または尿検査(M蛋白の確認)

ALアミロイドーシスの原因タンパク質(M蛋白)の有無を調べ、心アミロイドーシスの種類を判断します。

STEP 3確定診断

生検

体の組織をほんの少し採取し、顕微鏡でアミロイドの有無を確認する検査です。アミロイドーシスは、全身にアミロイドがたまるため、まずは皮膚やおなかの脂肪組織などで確認します。これらの組織でアミロイドが確認できなかった場合には、心臓カテーテルを使って心臓の組織を採取して確認を行います(心筋生検)。

遺伝学的検査

ATTRアミロイドーシスの場合には、原因が「遺伝子の変異(変化)」によるものかどうかを判断する検査を行います。

参考:
日本循環器学会(編). 2020年版 心アミロイドーシス診療ガイドライン. P.24-50. (2025年2月確認)
北岡 裕章. 日内会誌. 2021; 110(2): 308-314.